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2024/03/01
施設長のつぶやき~趣味・嗜好品の取り扱いに関する議論~
こんにちは、施設長の田原です。
今年もついに始動!
bc only+1 2024。
Zepp Nanbaに参戦です。
今回はライブハウスですがオールスタンディングではなく全席指定。
そのため収容人数は1,200名程度なので、+1チケット(ファンクラブ非会員用)が
結構落選しているそう。
思えば以前、今はもう閉鎖となった心斎橋のクラブクアトロでは会員でも落選が続出。
(当時は+1はなかったですが…)
後で知った事ですが、当時はまだ転売が横行していたので
チケットが数万円に跳ね上がっていたようです。
当時のクアトロは収容人数が650名程度だったようなので納得です。
私は普通に当選しましたが、今思うとラッキーだったんですね~
それでは本題です。
予てより私は特養は「施設」ではなく「家」であり「生活の場」であり「社会」である
特養に入所された方は「利用者」ではなく「人」であると説いています。
もちろん、特養という施設に入った利用者というのは紛れもない事実なのですが
ものの考え方の根底として
人が人として家で社会の中で生活する当たり前の環境という意味でそう説いています。
しかしそうは言っても介護保険を利用した施設であり、老人福祉法、介護保険法
そして運営基準等を遵守するために、ある程度の制約があるのも事実です。
そんな生活の場と介護保険事業という狭間で、常に議論されるのが趣味・嗜好品の取り扱いで
特に課題となるのが飲食物、とりわけ酒と煙草はその最たる物でしょう。
生活の場である以上、自由が原則。
しかし何でもかんでもほったらかしは責任放棄となります。
そのような中「自由な生活」を送って頂くにあたり、
趣味・嗜好品の取り扱いに関して以下の事柄が重要と思います。
①心身状況に問題がない
②経済的に問題がない
③それを入手する手段がある(入手後の保管場所も含む)
④通常のサービス提供に著しい支障がない
少なくとも上記全てが満たされている場合は、制限を設ける事は出来ないでしょう。
以下詳しく見ていきます。
①は趣味・嗜好品の中でも特に飲食物に関して議論されるものです。
当然、主治医を中心に心身機能を確認しながら、可不可を相談していくものです。
しかし最終的には本人の意向が強く出る事柄でもあります。
主治医を含め本氏に提案等を行ない納得のうえで
どのような飲食物を摂取していくのか取り決めます。
肝心なのは「説得」ではなく「納得」して頂く事でしょう。
もちろん、飲食物に限らず健康器具なども心身機能によっては危険が生ずるため相談が必要です。
②は言うまでもありません。
どれだけ物を欲していても金銭的に余裕がなければ購入出来ません。
もちろんケースによっては経済的アプローチが必要な場合もありますが。
③は心身状況に問題がなく、お金があったとしてもそれを入手する
つまり購入する手段がなければ、いくら趣味・嗜好品が欲しくても入手は困難でしょう。
例えば「〇〇百貨店限定のお菓子を買ってきてほしい」と言われても
そんな朝一から職員が並んでまで購入するような物は現実的に購入不可能です。
心斎橋の〇イ・〇ィトンのバッグを買って来てほしいと言われもすぐには無理でしょう。
(※「声を上げる人の声をすくい上げること」に続く)。
またいくら入手する手段があっても部屋に入りきらないほど大量の物を購入されても困ります。
ですからこの③の条件も非常に重要です。
④が一番議論される事ではないでしょうか。
例えば飲酒。お昼間から飲酒する事の是非はさておき仮にお昼から飲酒したとしましょう。
飲酒する事で通常予定していた入浴が出来ない、機能訓練が出来ない
いつもトイレで排泄出来ているのに失敗する等が良い状態とは言えません。
飲酒以外でも例えば嗜好品のお菓子を頻回に食べる事で
栄養管理された施設提供の食事をほとんど食べないというのは健康管理上好ましくないでしょう。
ただし食事に関しては好き嫌い等で当施設提供の食事をあまり食べる事が出来ず
持ち込んだものを食べること自体を不適切と論じている訳ではありません。
あくまで通常の食事を食べられるのに
あえて嗜好品ばかりを優先するというケースが好ましくないというだけです。
これは施設に限らず一般社会でも同じ事が言えるでしょう。
好き嫌いが激しくどうしても当施設提供の食事のみでは満足できない方が
持ち込んだ捕食を食べるのは問題ないでしょう。
そのような方に対して「施設の食事を残して「お腹が空いた」と言って
持ち込んだパンを食べるのはおかしい」という意見の方が暴論です。
(もちろん好き嫌いに関しても可能な限り施設で対応したいとは思いますが
かなり偏食の場合はいくら何でも個々人に全て合わせるには限界がありますから…)。
長くなったので続きは次回にします。