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2023/10/17
施設長のつぶやき~事故防止の観点②~
予告を見て気になったので
観て参りました。
とにかく大沢たかおさんの演技をマネしたくなること請け合いの映画です。
原作漫画は読んでいませんので、映画を1回観ただけではなかなか
全てを理解する事が出来なかったのですが…
世の中、本当の情報は出て来ない、真実が明るみになった時には
国民はどうする事も出来ないという事は理解出来ました…
それでは本題です。
主に以下のような方法があります。
ここでのポイントは②です。
②で肝心なのは「良い事だけを伝える。」という事です。
職員の中には来館された家族にわざわざ「昨日は凄い便失禁で大変でしたよ。」
とか伝える人がいます。
そんな事を報告されても家族としては「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。」
と言うしかなく、不快な気持ちになったり、下手をすると面会自体に
気おくれしてしまったりする危険もあるでしょう。
それならば「いつも食事介助させて頂いていますが、昨日の夕食のトンカツが
よほど美味しかったのか、笑顔でありがとうと言って下さいましよ。」
とかお伝えする方が、お互い気持ち良いしほっこりするでしょう。
それにそもそも家族としては大変なのがわかっているから特養に入所させているのでしょう。
それをわざわざ大変だったアピールする必要はありません。
それは隠蔽でも何でもありません。
それに本人にとって良くないような内容でも、伝えないといけない事は
ソーシャルワーカーがしっかり伝えるようにしています。
ですから介護現場でわざわざそんな報告をする必要はないと思います。
もちろん何でもつつみ隠さず話す事こそ信頼関係に繋がると考えている方を否定もしませんし
そのような方が施設長の施設では何でも全て報告しているでしょう。
しかし私は何もわざわざ人を不快な気持ちにさせる事もないと思いますし
利用者本人にとっても決して多くの人に知られたいような内容でもない事を
わざわざ伝えてほしいと思わないと思っています。
現に転倒さえ、「恥ずかしいから家族には言わないでほしい。」と言われる方もおられました。
ちなみにこのようなケースでは、本人の理解力や判断能力がしっかりしている事を前提に
事前に本人、家族と面談のうえ
「本人が言っても良いと言った事しか家族には報告出来ない。」としっかり取り決めます。
しかしそうは言っても骨折などの重大な事故に関しては
本人に「さすがにこれは家族に伝えた方が…」と説明し了解を得るように努力はします。
ここで本人、家族と信頼関係を築けていた当施設における実事例を2ケース紹介します。
何も信頼関係を築けていれば事故が起こっても構わないという訳ではありませんし
上記2ケースを美談にする気もありません。
事故等起こらないにこした事はありません。
まして実事例②の場合、結局事故原因は特定できず
「歩行訓練を20分ほどした事による疲労骨折の可能性」
「臥床前にトイレ誘導した時の着座の衝撃で骨折した可能性」と説明し終了となりました。
施設側としても非常にモヤモヤした結末でした。
しかしそれでも、家族にここまで言って頂けた事には
感謝するしかないという思いでご紹介させて頂きました。
事故は本人も家族もそして施設にとっても嫌な事です。
出来れば事故ゼロを目指したいものです。
しかしそれでも事故は起こります。
「訴訟を防ぐ」というのを全面に押し出すと何か誠実さにかけるというか
「事故があったのに何考えてんだ」とお叱りがきそうにも思います。
ですから前面に押し出す事はしません。
しかしそれでも訴訟を防ぐという考えがしっかりもっておかなくてはいけません。
賠償命令が出ても保険でカバーできるので金銭的なダメージはないかもしれません。
しかし訴訟ばっかり起こされているような施設に誰が入所したいと思いますか。
プロとして仕事している以上、綺麗ごとでは済まされません。
しっかし施設運営というものを考えておく必要があります。
事故防止とは施設運営にも直結しているという意識を忘れないでおきたいと思います。