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2023/07/08
施設長のつぶやき~過度な「自立」支援はノーマライゼーションの否定~
こんにちは、施設長の田原です。
先日
行って来ました。
貴重な資料などがあって面白かったです。
しかし写真撮影出来るスポットはわずか5箇所のみ。
さらに、人物と一緒に撮影して良いのは初めの1箇所のみで
しかも一グループ1枚のみ、職員さんが撮影するという徹底ぶり。
さすがジブリ、ガードが堅い!
それでも
皆あこがれ(??)のネコバスに乗車出来たり…
こちらは大迫力で、まるで映画の世界に引き込まれたよう。
お土産も買えて大満足です。
それでは本題です。
いきなりですが、皆さんはノーマライゼーションという理念(考え方)をご存じでしょうか。
ノーマライゼーションとはデンマークのバンク・ミケルセンとう方が提唱した
「高齢、疾病、障がい、どのような状態の方であっても、その社会の中流の生活を送る事が出来る
そのような社会こそが正常(ノーマル)な社会である」という考え方です。
私はこのノーマライゼーションはバイスティックの7原則と並んで
自分の根幹にある理念と思っています。
過度に豪勢な暮らしを保証する必要がない代わりに、貧困にあえぐ事を否定する
つまり衣食住が確保できるという事です。
しかしいくら衣食住が確保出来ていてもそれだけでノーマルな生活を送れる訳ではありません。
そこには着るだけ、食べるだけ、住むだけではなく
入浴や排泄、趣味活動などが充実してこその人間社会である事は言うまでもありません。
趣味活動は少し置いといて、最低限の生活として、やはり入浴、排泄、食事に関して
確保する必要があります。
我々が勤務する高齢者施設
そしてその根幹となる介護保険法では殊更「自立支援」が謳われています。
しかしこの自立支援の意味をはき違えるととんでもない人権侵害になる事に注意すべきです。
「自立」という言葉を辞書で調べると「他への従属から離れて独り立ちすること
他からの支配や助力を受けずに、存在すること。」と出てきます。
この文言だけを読めば介護が必要となった高齢者であっても
入浴、排泄を全て一人で出来るようになる事が自立支援と勘違いしてしまうでしょう。
実際にそれこそが自立支援介護という考え方を語る職員に今まで何人も出会ってきました。
しかしそうではないと私は思います。
ある障がい者支援に関する研修でこのような話がありました。
「一人で着替えようとすると2時間かかる方が
ヘルパーさんに手伝って貰えれば10分で着替えられる。
残りの時間を外出など自由な時間に使える、これは立派な自立支援である。」
しかしこの講演を聞いた方の中に「そんなの自立じゃない。助けて貰っているではないか。」
という方がおられました。
別にその考え方を否定はしません。
そのような考え方の人はいざ自分が高齢になったり、障がいを負ったりした時に
誰の力も借りずに一人で生きていけば良いのです。
自分の意思で人の力を借りて、自分の思った生活を送る、それは立派な「自律」支援です。
自立支援だけが全てではありません。自律支援が必要な事もあるのです。
長くなったので続きは次回にします。