ホーム > ブログ
2023/05/14
施設長のつぶやき~バイスティックの7原則「受容」の意味②~
先日、休日を利用して
行って参りました。
恐竜展といえば、骨格展示がセオリーですが
今回の恐竜展は「骨格のない恐竜展」との触れ込みで
少し模型の展示はありましたが、基本的に絵画中心です。
このような感じ。
出口付近に少し模型が。
骨格展示のない恐竜展で骨格を復元している際の絵画をバックに記念撮影。
それでは本題です。
一方、良くない例もあります。
介護支援専門員更新研修で同じ班の方の話でこんなケースがありました。
ある独居の男性利用者の話です。
(その方の話では認知症はなし、もしくはあっても年相応、軽度)。
興奮すると暴言、暴力がある利用者だそうで
ある日、訪問介護員の方が杖で頭部を殴打され流血したとの事。
それでその先どうしたのか聞くと「その人はその人で良い所もあるし、利用者だから」といって
特に何も対処せず「なぁなぁ」で終わらせたそうです。
結局、その方からも謝罪があり、結果的にそれなりに良好な関係を継続し
支援を継続しているとの事でしたが…
これを結果オーライで終わらせて良いのでしょうか。
私はそうは思わず、この対応は大いに問題ありと思っています。
杖で殴打し流血させるなど、ケアハラ、カスハラ以前に傷害罪でしょう。
何故警察に連絡しなかったのか不思議で仕方なく
その研修の場でも「その対応は違うでしょう」とハッキリ指摘しました。
本来このような研修のグループワークでは
ブレインストーミング(批判厳禁、自由奔放、質より量、結合改善)が原則です。
しかし明らかに間違えている場合は指摘が必要でしょう。
これは批判とは訳が違います。
仮に警察に通報したとして、実際に逮捕されるのか、起訴されるのか
有罪判決が下されるのかは、警察、検察、裁判所が判断する事で
我々の関与出来る問題ではありません。
しかし普通に一般社会の考えでは犯罪行為があれば通報する、これは当たり前の事です。
確かに謝罪を受け入れ被害届を取り下げるというのは、良くある事です。
ですから私は何も、是が非でも警察沙汰にして大騒ぎしろと言いたい訳ではありません。
しかし殴打されて流血騒ぎになっているのに、その件について「なぁなぁ」で終わらせ
何も対応しないのであれば、それはその人の成育歴、生活歴、生活環境など
その人の人となりをありのまま受け入れているのではなく
まさに傷害行為という反社会的行為を受け入れる事になります。
それは支援でもなんでもありません。
このように同じように利用者への支援を継続しているように見えても
その「受容」の仕方で、それがソーシャルワークの範疇なのか
ただただ「なぁなぁ」で終わらせているだけなのかに違いが出てきます。
今回はバイスティックの7原則「受容」について考えてみました。
教科書、参考書等では「ありのまま受け入れる」としか書いていない事も多いこの原則。
(おそらく試験対策のためと思われる)。
しかし理解の仕方を一歩間違えれば、反社会的行為さえ受け入れる事になります。
また逆に差別的言動をとってしまった利用者を我々が審判的態度で断罪するという
あるいみ差別的な態度をとってしまう危険もあるのです。
相手は機械ではなく人です。
簡単に全てを理解する事など出来ませんし
何十年支援を継続してもその方の何割を理解出来るかも不明です。
だからこそ我々は普段からソーシャルワークを駆使し
利用者の支援を継続していく必要があるのです。