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2023/05/10
施設長のつぶやき~バイスティックの7原則「受容」の意味~
こんちには、施設長の田原です。
先月は2本映画を観て参りました。
まずは
昔の映画を再上映する<午前十時の映画祭>
そこからジュラシック・パークⅢを。
このジュラシック・パークⅢ、私が20歳の時に上映された映画ですが
この当時、ジュラシック・パークⅢ以外にも、「猿の惑星」「A・I」
「パール・ハーバー」が同時上映、夏の洋画4大作品として注目を
集めていました。
私は青春真っ只中だったので恋愛映画の「パール・ハーバー」を観に行きましたが
後にレンタルビデオでジュラシック・パークⅢを観てあまりの面白さに
感動したものです。
あれから20年以上経って、まさか映画館で観れるとは思いもしておらず…
もう何回も観て内容は知り尽くしていましたが、やはり大画面と
素晴らしい音響で観るのは別格です。
そして…
私個人の感想としては面白かったのですが…
どこまで興行収入を伸ばせるか。
The Beginningで終わらせないでほしい所です。
翔北メンバーがいたので記念撮影を。
それでは本題です。
私が社会福祉士の専門学校に通っている時の話です。
実習で視覚障がい者更生施設に通わせて頂いておりました。
その時、実習担当の職員さんから「身体障がい者の方は
知的障がい者の方と同じ障がい者扱いされるのを凄く嫌がる」という話を聞きました。
(何でそんな話になったのかは忘れてしまいました)。
差別は良くありませんが、その時は「そうなんだ」としか思いませんでした。
就職して高齢者支援に携わるようになり、どのような施設、事業所にも
認知症のある方もおられれば、認知症のない方もおられる中で日々支援をしています。
そのような時、しばしば認知症のない方が、認知症のある方を
揶揄するような言動を取られる事があります。
その時我々はどのように考えるべきなのでしょうか。
もちろん、認知症のない利用者が認知症のある利用者に対して、目の前で罵ったり
馬鹿にしたりするような態度をとれば、いくら相手が利用者であっても注意はします。
どのような場面であっても差別は許す事は出来ません。
しかしその時、我々は、その馬鹿にしたような言動をとった認知症のない利用者を
「ひどい人だ」「あの人は差別主義者だ」などと断罪して良いのでしょうか。
私はそうは思いません。
確かに差別はいけません。
それはこれまでこのブログで何度も述べて来た通りです。
普通に暮らしていると言えば語弊がありますが、我々が知的障がい者の方や認知症のある方を
揶揄するような事はあってはならないでしょう。
では同じ利用者同士ならどうでしょうか。
差別して良いとは決して言いません。
差別を認める訳では決してありません。
しかし利用者は須らく常に抑圧された感情を持って生活しています。
在宅の利用者でもそうですが
それが障がい者更生施設や高齢者施設等に入所していれば尚更です。
ですから私たちがすべきことは
まず差別的言動を本人を目の前にした時は注意する事。
そしてそれと同時に、そのような言動をとってしまう
とってしまった成育歴、生活歴、生活環境など
その人の現在の人となりをありのまま受け入れる事です。
これこそがバイスティックの7原則「受容」の意味なのです。
ここで我々が審判的態度で「ひどい人だ」「あの人は差別主義者だ」と
断罪してしまっては支援は出来ません。
差別的言動を受け入れる訳ではありません。
あくまで上記の通り、そのような言動に至っている事を受け入れるのです。
過去に私が担当した利用者の中に万引き癖のある利用者がいました。
しかしその方は独居で親族は疎遠、金銭的に苦しいという背景がありました。
万引きという反社会的行為を受け入れる事は出来ません。
しかしそのような背景、環境から、結果的に万引きという行為に及んだという事を
受け入れるのです。
これは「あの人は万引きをしても仕方ないなぁ」と許す行為とは訳が違います。
どのように利用者を理解し、支援を始めるのかという問題です。
長くなったので続きは次回にします。