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2024/08/19
施設長のつぶやき~願くは 御國の末の 栄え行き 我が名さけすむ 人の多きを~
第二次世界大戦下の隻脚の外交官・重光葵(しげみつ まもる)氏の有名な短歌です。
日本が侵略戦争をした等、ここで議論はしません。
何度も言っている事ですが、当時はそうするしかなかった事など沢山あります。
流石にコロナ禍を経験した今ならわかるでしょう。
今思えばおかしな事だらけでした。
人の移動を制限するために電車の本数を減らした結果、余計に電車が混みあった
そんな満員電車に乗っているのに何故かパチンコ屋に行くと非難囂々
政治家は黙っている時にマスクをして喋る時にマスクを外す
ソーシャルディスタンスの名のもとライブ会場では両隣空席でしたが
そんな距離じゃ飛沫感染は防げないし、ましてエアロゾル感染ならもっと無意味
そしてアクリル板…
あげればキリがありませんが、今思えば???な対応ばかりでした。
しかし当時はそうするしかなかったのです。
今その事を誰も非難出来ないでしょう。
戦争下も同じです。
今の価値観なら間違いなく良くない事と思いますが
当時の方々はそれでも出来る事を必死にやった結果が日米開戦です。
誰も非難する事は出来ません。
戦争を美化する事は出来ませんし、してはいけない事です。
同時に今、平和を享受している我々が偉そうに上から目線で非難する事も出来ません。
我々がすべきことはただ悲しい歴史、そして当時を懸命に生きた方々に黙祷し
二度と戦争を起こさないと誓う事だけです。
そういった歴史の中、当時の日本人も懸命に生きた中、それでも終戦を迎えます。
戦いが終わるというのは良いのですが、日本にとっては屈辱的な事でもあったと思います。
いくら条件付とはいえ、降伏文書の調印という屈辱など誰が喜んで引き受けようか。
その大役を担ったのが文頭の重光葵氏です。
そして重光氏は降伏文書に調印する際、こう詠みます。
「願くは 御國の末の 栄え行き 我が名さけすむ 人の多きを」
自分は降伏文書という屈辱的なものに調印する。
いつかこの国が復興し栄えた時、「あんな文書に調印しやがって」と
自分を蔑む人が多くなる事を祈るという詩です。
もちろん、蔑むどころか、その志に敬服するのみなのですが
今の日本が一体この心にどれだけ報いているのでしょうか…
政治家や有名芸能人、大企業幹部でもなければ大きな事は出来ないでしょう。
しかしだからこそ、今目の前にある事を一所懸命にこなす
少なくともそれが今の世の中に必要な事と思います。
それが人から見てどんな小さな、些細な事であったとしても。
重光氏の夢見た、栄えた日本に恥じないように。