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2022/12/05
施設長のつぶやき~サービス提供可不可の根拠と契約という行為②~
昨日、スラムダンクを観に行った事を書きました。
賛否両論あると書きましたが、どうやら賛同の声が大きくなっているようです。
この辺りは前評判が悪かっただけに逆に高評価になったのかもしれませんね。
映画館で何やらチラシを貰ったのですが、どうせ興味のない宣伝だろうと思って
くちゃくちゃにカバンに入れていました。
しかし昨日何気に見てみると…
何とこのチラシを受け取った人のみ最大4名までB.LEAGUE・大阪エヴェッサの
試合が500円で観られるとの事!
久しぶりにB.LEAGUE観てこようかなぁ。
世間はワールドカップ一色ですが、バスケも熱いですよ!
という事で本題です。
ちなみにですが、ソーシャルワークの世界では納得はいいが説得は不適切と言われています。
納得は丁寧な説明のうえで腑に落ちたという事になります。
しかし説得は「説き伏せる」という意味があり、自分の意見を押し付けた形になるからです。
もう一つサービス提供拒否する正当な理由に加えて契約という観点も考える必要があります。
私がケアマネをしていた頃、別のケアマネのケースでこのような事がありました。
独居、男性、認知症なし、身寄りもない方で要支援1か2の方でした。
週に2日ほど訪問介護を利用していましたが、ある日訪問介護事業所よりケアマネに対して
次のような相談がありました。
「何度言ってもゴミ袋を買ってくれず“コンビニの袋に包んでおけ”と言われます。
台所が不潔になり、蛆虫やノミが沸いています。ヘルパーも虫刺されなどの被害が出ています。
ゴミ袋を購入して頂かない限りこれ以上のサービス提供は困難です。」
担当していたケアマネは「介護保険法の決まりでサービス提供拒否の禁止があるので
サービスの中断は出来ません」と訪問介護事業所の申し出を断ろうとしていました。
このケースを皆で検証した際、担当ケアマネに対し「その対応は不適切ではないか」
という結論に至りました。
部屋の綺麗、汚いに関しては主観が入るため簡単に判断出来るものではないかもしれません。
しかしゴミが溜まり蛆虫やノミが沸いている状態は少なくとも清潔な環境とは言えないでしょう。
それでも本人に認知症がなく判断能力がありそれで良いと言い
近隣住民等に迷惑をかけていない状態なら、それも良いかもしれません。
しかし本ケースではすでに訪問介護員に健康被害が出ており
自社の職員を守るために一般的なゴミ袋を購入してほしいというのは正当な要求です。
もちろん事業所指定の高価なゴミ袋を買え等は不適切です。
さらにもしゴミ袋を買えないぐらい生活に困窮していれば
それは健康で文化的な最低限度の生活が送れていない訳で
ゴミ袋どうこう以前に経済的アプローチが必要なケースになってきます。
(本ケースではそうではありませんでした)。
そしてその正当な要求を本人が拒否するのであれば、サービス提供を拒否する
正当な理由になり得ますし、何より契約関係の継続が不可能となります。
社会福祉基礎構造改革により介護保険法が制定され、「介護」は措置から契約に変わりました。
契約である以上、一方が有利な契約は不可で利用者も事業者も対等な関係である必要があります。
ですから上記のようなケースでは契約継続不可となる訳です。
先述の通りですが、介護保険法が定めているのはあくまで要介護度や所得の多寡で
サービス提供を拒否してはならないという事で
何でもかんでも利用者の要求を受け入れろとは言っていません。
我々は介護保険法を基に事業運営をするのは当然ですが
民法上の対等な契約関係である事を忘れてはいけません。
そうでないと今問題となっているケアハラやカスハラといった被害に
職員がいつ合ってもおかしくないのです。
一般のお店などと違い社会保険制度の中で営業している我々は簡単にサービス利用希望を
拒否できない立場にいます。
だからこそどこにサービス提供可不可の根拠があるのか明確にしておく必要があるのです。