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2022/05/21
施設長のつぶやき~思い込み・先入観・固定観念・常識を疑え!③~
前回の続きです。
また食事以外にもこんな事がありました。
私が新卒で入職した医療法人が運営する通所介護では定期的に
「外出行事(好ましい表現ではありませんがあえてわかりやすく言うと「遠足」という行事)」
がありました。
介護保険外の自費で行うサービスでしたが、その通所介護では健脚で普段普通に歩行し
買い物等にも出かけるような利用者にも、外出行事の際は全員一律車椅子でした。
何故、全員車椅子なのか尋ねると「危ないから」の一言で終わらされました。
まぁ別に自分が配属されている事業所ではなかったので、それ以上は言及しませんでした。
その後、その医療法人から新設された社会福祉法人の通所介護に転籍し
同じように外出行事を行う事となりました。
医療法人から転籍してきたメンバーが大多数だったので
当然、「車椅子論」が持ち上がりました。
しかし私と同じ意見を持つ数名の人物でそれらを一蹴し
自分で歩ける方は自分である歩いて頂けるようにしました。
もちろん、普段歩いて買い物等にも行っているけど、長距離歩行は不安だから
車椅子がいいと言われた方や、逆に「歩ける」とご自分では言っているけど
明らかに危険な方には、こちらからお願いして車椅子を利用して頂きました。
さらに途中で歩けなくなった場合を想定し、全員分の車椅子を用意し、外出行事に臨みました。
結果は想像以上に普通に歩いて下さり、もちろん一人も転倒する事も、逸(はぐ)れる事も無く
無事に外出行事が終了し、大変喜んで頂く事が出来ました。
これも「外出行事=車椅子」という固定観念や常識が存在していたという例でしょう。
金田一少年(37歳)も物理的な壁よりも心理的な壁の方が崩すのが難しいと言っています。
心理的な壁と言えば、壁ではなく距離でいうと、当施設は豊中市の端っこに位置しています。
しばしば「アイテラスさんは遠いから」と言われます。
しかし実際には豊中市の中心部の豊中駅辺りでも自転車で15分程度で行けますので
そう遠くはないのです。
では何故遠いと思われるのか、それは空港線を越えれば遠い所
さらに猪名川を渡ればもっと遠い所という二つの心理的距離があるからです。
利用者、家族、またケアマネジャーの方々にこの心理的距離をいかに払拭して頂くかが
営業活動にとっても重要になります。
このように思い込み、先入観、固定観念、常識というものは
時に利用者へのサービスの質にも影響しますし、時に営業活動にも影響します。
どのような事にも思い込み、先入観、固定観念、常識というものがあるのは事実です。
特に常識というものの中には必要な事も多分にあります。
だから何も常識という物を全て否定しろとまでは言いません。
しかし当たり前に生活する中にある「常識」という物を
時には疑ってみる事も大切な事と思います。
「疑う」という言葉はあまり良い響きの言葉ではないように思われます。
しかし毎日の生活の中で「これで良いのか」と一歩立ち止まり疑問を呈する事は
良いサービスを提供するうえで必要な事なのです。
こう書くと「何を今更当たり前の事を…」と言われそうですが
この当たり前の事がなかなか出来ていないのが先述の例であり
「当たり前の事を…」と思っている時点ですでに
その思い込みや先入観から抜け出せていないのです。
どうか「常識を疑う」という事を少し意識して毎日過ごして貰えればと思います。