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2022/03/07
施設長のつぶやき~社会福祉の「観」と「感」と「勘」を考える②~
前回の続きです。
職員は徐々に経験を積んでいくうえで、他者の福祉観に共感しながら
世の中の福祉観を感ずる能力も身に付け、その過程を踏み自らの福祉観が形成され
いつかチームの中心人物(管理職・リーダー等)に成長していく事と思います。
そんな折、管理職、リーダー等に「答え」を求める職員がいます。
よくカンファレンス等で聞かれる「どうしたら良いか教えてほしい」「全部決めてほしい」
とかいう意見です。
確かに様々な意見が出たり、議論が迷走したりした場合は
管理職やリーダーが決を採る事は当然です。
しかしこの業界は「算数ではない」ので1+1のように答えがある訳ではありません。
人の人生を左右する事に関して明確な答えなどないのです。
それはどんなに経験を積んだ者にも出来る事ではありません。
ではどのように道筋を立てていくのか。
私はここで3つ目の「カン」である「福祉勘」を働かせてほしいと思うのです。
ここで少し遠回りして、あるたとえ話をします。
私の好きな漫画に「金田一少年(37歳)の事件簿」という作品があります。
かの有名な名探偵・金田一耕助の孫である金田一一(きんだいちはじめ)が
警察も手こずる難事件を次々解決していくという、素人探偵物の推理漫画です。
その中でライバルであり良き協力者の明智警視(長)が金田一一の推理をこう分析します。
「理論を積み上げていくのではなく、勘のような物を働かせおぼろげながら推理の道筋をたてる。
そこから並外れた洞察力をもって事象を見逃さず推理を肉付けしていく」
うろ覚えですがこのような内容だったと思います。
これに例えて良いのかはわかりませんが、対人援助において明確な答えがある訳ではない以上
今までの経験から感じた事や、福祉観を頼りに福祉勘を働かせ、おぼろげながら道筋をたて
日々の利用者の変化を見逃さず、支援方法を検討していく事も重要と思うのです。
しかし当たり前ですが「勘」といっても、ただの当てずっぽうの事ではありません。
それはこれまでの経験、知識、また資格等に裏打ちされた
「利用者の事を思う、自分自身のアイデンティティ」なのです。
私に関していえば、自分の福祉観の始まりは
当然社会福祉士を目指したところから始まっています。
経験や知識が乏しかったルーキーの頃は、社会福祉士だけを頼りに、バックボーンにして
福祉観を語ってきました。
どうか皆さんも自らの福祉観を構築し、日々感じ、時に勘を働かせ
利用者支援に臨んでいって頂きたいと思います。