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2021/12/21
施設長のつぶやき~利用者様の「遠慮」と「配慮」を考える④~
前回の続きです。
私が新卒で入職した医療法人のデイサービスとデイケアの話です。
普通に独歩や歩行器歩行出来る利用者様に対しても「転倒したら危ない」という理由で
立ち上がろうとすると「どこ行くの?」と言って肩を抑えて座らせていましました。
今思うとスピーチロックどころではない完全な身体拘束ですね。
歩行する際は、どんな利用者様にでも一人で歩かさず、利用者様の肩を担いで歩くという
謎の歩行介助をしていました。
私は新卒で何の現場経験もありませんでしたが、社会福祉士取得前の実習先で
歩行できる利用者様は当たり前に歩行しているのを見ていましたから
入職後も普通に歩行して貰っていました。
するとそんな私を見た、年下の介護職員が「もう、田原さん、危ないな」と
訳のわからない事を言いながら、利用者様の肩を担いでいました。
ちなみにその歩行介助(と呼べるのか?)は私と同日に入職したベテランのOTと一緒に提言し
手引き歩行等に改善させました。
ここまでくると「遠慮」「配慮」どころか、完全な権利侵害です。
しかし悪気はなく「転倒を防ぎたい」という気持ちからです。
良くある「結果的な虐待」というケースです。
「遠慮」「配慮」から話がそれましたが、話を元に戻すと月並みな言い方ですが
まずは利用者様の気持ちに寄り添う事が一番大切という事と思います。
そうしないと利用者様の「ワーカビリティ」を奪い
挙句「権利」をも奪ってしまう危険性もあるのです。
もちろん、逆に「これは利用者様の配慮だ」と決めつけて、怠慢な態度で勤務し
結果「遠慮」させてしまうのが、一番良くない事というのは言うまでもありません。
今回は一つの転倒事故から利用者様の「遠慮」と「配慮」について考えてみました。
転倒事故があると必ず「見守り強化」「介助の実施」という予防策が上がってきます。
それはそれで間違いではありませんが、今回の私の考察が正しいか間違っているかはさておき
様々な角度から事故を検証する事が大切と思います。
事故を防ぐだけではなく、利用者様の意思・権利も考える事が求められると思っています。